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【レビュー】映画『うさぎ追いし 山極勝三郎物語』

 医学関連の映画を観た。せっかくなので感想を残しておくことにする。

 

今回の映画

タイトル :『うさぎ追いし 山極勝三郎物語』

監督   :近藤明男

制作年  :2016年

鑑賞年月 :2021/10/03(学部3年)

 

作品紹介・あらすじ:

大正時代の初期に世界で初めて人工的なガンの発生実験を成功させ、ノーベル医学生理学賞候補にもなった山極勝三郎の生涯を、遠藤憲一主演で描いた人間ドラマ。16歳で長野から上京後、東京帝国大学の医科に入学し、32歳で東京大学教授に昇進した勝三郎。妻かね子との間に3人の子どもを授かり、幸せの絶頂だった勝三郎を結核が襲う。しかし、病を患いながらも「ガンを作ることができれば、ガンは治せる」という仮説のもと、うさぎの耳に刺激を加え続けることで人工ガンを作る実験を繰り返していくが……。遠藤が主人公・山極勝三郎の学生時代から晩年までの40年を演じ、勝三郎を支える妻・かね子役を水野真紀が務めた。その他の共演に豊原功輔、岡部尚、高橋惠子、北大路欣也ら。

 

感想

 山極勝三郎という人物については、これまでも学部授業で度々その名を聞いていた。しかし、特に印象は残ってはいなかった。今回この映画を観たのは、先日読んだ『こわいもの知らずの病理学講義』(仲野徹)内で紹介されていて、その存在を思い出し、しかも動画配信サービスで見られるという好条件があったからだ。

 内容は「人工癌実験の試行錯誤」よりも「山極勝三郎という男の人間性」がテーマであった。まさしくタイトル通りである。ちなみに「うさぎ追いし」は人工癌を作るため、うさぎの外耳にコールタールを塗り付ける実験を行っていたことにちなんでいる。

 山極がどういった環境で研鑽を積み、どのような信念・心境で実験の成功にこぎつけたのかが描かれており、めちゃくちゃ実験に真摯な研究者だったことがうかがえる。また、奇人としての側面も描かれており、やっぱりノーベル賞候補に挙がる人って変な人なのかなと面白くもあった。実験動物としてのうさぎへの感謝なども描かれ、(事実通りかはわからないが)彼のスタンスがハッキリしているところは見ていて気持ちよかった。

 こういった人たちがいてこそ、現代のがん医療があるのだと思いを馳せる映画であった。