Wii0513のなんでもかんでも

頭の中を文字に。

【レビュー】『解剖学は面白い』

今回の書籍

タイトル :『解剖学は面白い』

著者   :上野正彦

出版社  :株式会社シティブックス

発売日  :2018/05/14

価格   :¥770

読了年月 :2021/09/22(学部3年)

 

作品紹介・あらすじ:

東京都監察医務院に監察医として勤務し、数多くの解剖を手掛けた著者が「解剖学」という学問を通じて、人の体、死と生について様々な角度から解き明かす。法医学は死んだ人間を対象とする医学だが、ここでは死体を通して生きた人間の体に迫る。細胞と体のしくみ、骨と筋肉と美男美女の関係、循環器・呼吸器・消化器・泌尿器・生殖器などの器官、男と女の体の違いとDNA、体のバランスを取る内分泌や神経や感覚器など。看護学校の解剖学の授業の副読本として書かれたものを、多くの例を加えて分かりやすく一般書として編集しなおしたもの。私たち自身の体のしくみや不思議を知る上でも楽しめる一冊だ。

 

解剖学はおもしろい

解剖学はおもしろい

Amazon

 

読みやすさ:★★★★★

解剖学の授業を一般向けに平易にまとめなおしたものということもあり、各組織の機能などが簡潔な表現にとどめてあるので、難解で置いて行かれるということがない。

 

面白さ:★★★★★

面白い授業を行いたいという考えの下、検死の具体的な事例を持ち出すことで好奇心をそそられる。この本によって法医学に興味が出る人もいるだろう。

「少しでもわかりやすく、理解してもらうために、自分のからだを探検するような気持ちで勉強してもらうために書いたのが看護学校生向けの『解剖学はおもしろい』(医学書院)であった。むずかしい教科書の消化剤になればよいと思っている。」

—『解剖学はおもしろい』上野正彦著
https://a.co/g4rhoxR

 

医学知識:★★★★☆

専門的な知識というには薄いが、入門書的な意味では長所といえる。上述のように平易ではあるが解剖学的な説明が多いので、ふんわりとした理解や復習には有用。解剖学の知識が浅い、低学年の医学生にはかなり良いのではないだろうか。

 

感想

じつはこの本を読むのは二度目で、記録を残しておこうと思い読み直した。前回読んだのは学部2年生の時で、解剖学真っ只中の時期である。耳になれない単語が次から次へと飛び出してくる中、初学者に優しい本はないかと探し見つけたのがこの本であった。その実、この本はオアシスであった。解剖の勉強の足しになるし、読んでいてしんどくない。自分の頭を解剖学、人体の構造に慣れさせるために非常に役立ったのである。そんな体験をしたので、解剖学に挑む医学生には非常にオススメしたい一冊である。

3年生になったいま改めて読んでみたわけだが、不勉強で知識がほとんど定着していない自分には良い復習になった。どうやら各種試験をギリギリでクリアする人間には最適なようである。不真面目な学生、読め。

ちなみにこの本の元となった講義は5年以上前の話なので、一部知識は古くなっている。例として、味覚地図について言及されているのだが、現在では否定されている。

また、同著者の『法医学事件簿』も面白かったので(内容は法医学に寄っているが)、ぜひおすすめしたい。